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※次回発行は12月27日号(ネット新聞は26日アップ)です 肛門周囲膿瘍と痔ろう
Q 「肛門周囲膿瘍(のうよう)」と「痔ろう(通称、あな痔)」について、お話しください。
A 肛門周囲膿瘍は、直腸と肛門の境目(歯状線)にある肛門陰窩(6〜15個ある)と呼ばれる小さなくぼみに便が入り込むことで起こります。通常この部分に便が入り込むことはありませんが、下痢などで水様便が肛門陰窩に侵入すると、便中には大腸菌などの細菌が含まれているため、肛門陰窩とつながる肛門腺に炎症を起こしてしまいます。菌に感染して膿がたまって広がり、肛門の周りが化膿した状態が、痔ろうの前段階といわれる肛門周囲膿瘍です。
肛門周囲膿瘍になると、肛門の周りが腫れて、激しい痛みや高熱を伴うようになります。排便と関係なく座っただけでズキズキと痛みますが、膿が出てしまうと痛みも腫れも治まり、約30%の人は完治します。残りの約70%は肛門陰窩から膿の出口までトンネル(瘻孔)を作ってしまった場合で、これが痔ろうです。痔ろうは、膿が出て症状が治まると出口がふさがりますが、トンネルが残ってしまっているので、細菌に感染するとまた肛門周囲膿瘍を発症するという悪循環を繰り返してしまいます。
他の痔疾患や炎症性腸疾患等に合併する痔ろうや、ごくまれに痔ろう癌が潜んでいることもあります。前記症状を認めたら、早期受診が大切です。
【この記事の問い合わせ】
山本醫院 福山市引野町北2-8-28
TEL:084(943)2777
※このコラムは、山本醫院院長・山本裕先生に伺っています。
(「リビングふくやま」2021年8月6日号掲載)
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