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※次回発行は12月27日号(ネット新聞は26日アップ)です 静脈還流と圧迫療法
私たちの体には、血管が網の目のように通っていて、全身の細胞に酸素や栄養を運んでいます。心臓から送り出された血液は動脈を通って体の隅々まで行き渡り、酸素や栄養分を使った後の古い血液が静脈を通って心臓に戻ります。さらに肺に運ばれて新しい酸素を十分取り込み、再び心臓から全身に送り出されます。この血液循環が生涯繰り返されます。
足の先まで流れてきた血液は、静脈に入ると重力に逆らって心臓のある胸まで上っていかなくてはなりません。
人間は立って生活していますから、足の血液が心臓に戻るのには大きなエネルギーが必要で、負担も多く、少しのバランスの崩れで足の静脈に病気が起きてしまいます。 静脈瘤(りゅう)は、ほとんどが足だけに起こります。また、長時間の立位や座位で、足にむくみが生じます。静脈の血液が足にうっ滞するからです。
むくみが出ると、足が重く、だるくなります。
足の静脈還流を良くするためには圧迫することが大切で、その重要性は、昔からよく知られていました。
例えば江戸時代に流行した脚絆(きゃはん)は、飛脚やお伊勢参りなどの人が、長距離を歩く際に下腿(たい)に巻き、戦争の時には兵士が足に硬い布(ゲートル)を巻いて長時間の行軍を行っていました。足を締め付け圧迫することにより血液のうっ滞を少なくし、足に疲れが出ないようにするためです。
静脈の病気に圧迫が大切だということを最初に記載したのは、医聖ヒポクラテス(紀元前460〜377)です。彼は、静脈性潰瘍の治療に包帯とスポンジによる圧迫の重要性を説いています。
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山本醫院 福山市引野町北2-8-28
TEL:084(943)2777
※このコラムは、山本醫院院長・山本裕先生に伺っています。
(「リビングふくやま」2019年9月13日号掲載)
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