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※次回発行は12月27日号(ネット新聞は26日アップ)です いぼ痔(内痔核)の注射療法について
Q:いぼ痔(内痔核)の注射療法について教えてください。
A: 内痔核治療には、前回お話しした座薬、軟こう等の薬物による外来保存療法と、入院による根治手術の中間的なものとして注射療法、結紮(けっさつ)法、凍結療法などの外来治療法があります。注射療法には、腐食療法と硬化療法があります。前者は従来、わが国において行われてきた療法で刺激の強い薬液を痔核内に注入し、壊死(えし)・脱落させる方法ですが、現在では、ほとんど行われていません。後者の硬化療法は、既に約40万人に投与されている、ALTA注(硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸)が主流になっています。
中国の史兆岐教授により開発され、日本の薬剤認可基準を満たすよう研究が重ねられ、約10年前に日本で保険適応となりました。四段階注射法という独自の注射法で投与し、所定の講習を受けた医師に限り使用可能な薬剤です。脱肛や出血を伴う痔核に非常に有効で、痔核治療に大きな変革をもたらしており、日本から世界に向けて普及しつつあります。ただし妊娠中や授乳中、腎臓の働きが弱っている人には投与できません。これらの条件の人に投与された場合の安全性が確認されていないためです。
他に、欧米で発達した療法で主に5%フェノール植物油を患部に注入し、痔核を硬化萎縮させるパオスクレー(痔核の注射療法)があります。1928年英国で開発された5%フェノール・アルモンド油は、比較的簡単に投与でき、出血を伴う痔核の止血に有効ですが、脱肛の改善作用はさほど強くなく、長期間にわたる持続効果はあまり期待できません。
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TEL:084(943)2777
※このコラムは、山本醫院院長・山本裕先生に伺っています。
(「リビングふくやま」2016年12月10日号掲載)
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