いぼ痔の保存的治療について
Q:いぼ痔(じ)の保存的治療について教えてください。
A: 保存的治療(手術以外の治療)の基本は、生活療法と薬物療法の2つあり、この方法で軽い痔核なら治すことも可能です。
内痔核の症状は、出血、疼(とう)痛、脱出のほかに残便感、肛門周囲皮膚の湿潤感、掻痒(そうよう)感などがあり、程度もさまざまで、その治療法は保存的治療が第一選択になります。
痔核の症状を悪化させる要素は、便秘や下痢などの排便習慣や食事、アルコールなど嗜好(しこう)品、仕事、日常生活の中にさまざまあります。再燃を避けるためにも痔核の病態、症状などについて十分に説明した上で生活指導を行っていきます。
薬物療法は、鎮痛作用、止血作用、かゆみを止める止痒(しよう)作用、微小循環改善作用などを有する薬剤があり、効能・効果を考えながら症状に応じて選択します。
排便時に痔核が脱出する3度以上の大きな痔核でも、症状を消失または軽減させることができます。
しかし、実際は痔核の主体をなす痔静脈叢(そう)を薬物療法で正常の状態に戻したり、消失させることは難しく、あくまで対症療法と考えます。
また薬物療法による効果は遅くとも2〜4週間のうちに現れるものが多いと考えられるので、投薬開始後1か月を過ぎても十分な効果が得られず、さらに治療の継続が必要な場合は、薬物療法を漫然と続けることなく患者さんへの十分な説明の上で他の治療法を考慮します。
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※このコラムは、山本醫院院長・山本裕先生に伺っています。
(「リビングふくやま」2016年11月12日号掲載)