陥入爪の治療（ワイヤー法）について

Ｑ：陥入爪（かんにゅうそう）の治療に、形状記憶超合金ワイヤーを用いる方法があると聞きました。どのような方法か教えてください。

　
Ａ：　爪が過度に巻いて（湾曲して）いる時に、形状記憶機能付きの超合金ワイヤーを爪に装着することで湾曲を改善させる方法です。超合金ワイヤーはニッケルとチタンの合金で、強い弾性力を持っています。この弾性力を利用して矯正します。
　爪が全幅（皮膚縁より3mm以上）で伸びている場合、ワイヤーを装着することが可能で、装着後速やかに疼（とう）痛などの症状は消失し、運動制限なども不要なことから、患者さんの満足度も高くなっています。
　装着方法は、爪の先端から2mmくらいの遊離部に、注射針をキリのように使用して、爪の端近くの2カ所に穴をあけます。爪が肥厚・硬化している場合には、精密ハンドドリルを使用すると容易に穿孔（せんこう）できます。　
　ワイヤーをその穴に通し、医療用瞬間接着剤で固定します（図）。装着直後から、形状記憶機能が付いているため、ワイヤーが元の直線に戻ろうとして、内側から爪の湾曲を矯正します。爪が伸びてワイヤーの位置が不都合になれば、近位に再装着します。爪の成長は、1日約0.1mmです。
　爪が伸びていない場合のワイヤー治療については、次回にお話します。
　
　
　
【この記事の問い合わせ】
山本醫院　福山市引野町北2-8-28
TEL：084（943）2777

※このコラムは、山本醫院院長・山本裕先生に伺っています。（「リビングふくやま」2015年10月17日号掲載）