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※次回発行は12月27日号(ネット新聞は26日アップ)です 腰部脊柱管狭窄症について
今回は、腰部脊柱管狭窄症について説明します。
「半年前に左の尻からふくらはぎにビリッと電気が走るような痛みが出現しました。最近では、その痛みが頻繁に起こり、5〜6分も歩くと左脚の痛みとシビレで動けなくなります」。この方は70歳の女性ですが、腰椎(ようつい)のMRIでは原因とみられる脊柱管狭窄を認めました。これが腰部脊柱管狭窄症ですが、比較的高齢の方に多く、安静時には何ともない反面、腰を反らす姿勢や長時間立ち続ける動作で、あるいは長い距離を歩くと症状が出現するのが特徴です。
脊柱管は脊柱(=背骨)の中にできた縦に長い空間で、図1のように前方の椎間板や椎体(ついたい)と、左右・後方を囲む椎弓(ついきゅう)で形成されます。また、腰の脊柱管には脊髄(せきずい)の枝である馬尾(ばび)神経が通りますが、図1・図2のように硬膜(こうまく)に包まれて脊髄液に浸かって納まります。
ここで、脊柱管の内腔(ないくう=断面)は、椎間板の状態や椎弓の内側にある黄色じん帯の厚みで変化します。つまり、ヘルニアと同様に椎間板が脊柱管の方に飛び出る場合、あるいは黄色じん帯が分厚くなると、その分だけ脊柱管は狭くなります。しかも、これらの変化が同時に起これば、脊柱管は前後左右から圧迫されて容易に脊柱管に狭窄を生じます(図2)。実はこのような現象(狭窄)は年齢的な変化として誰にでも起こっていますが、必ずしも症状が出るとは限らないから曲者(くせもの)です。
脊柱管狭窄のタイプは以下の3つに分けられます。まず、脊柱管が全周性に狭くなって、そこで馬尾神経が均等に締め付けられるものが馬尾型です。次に、脊柱管が左右いずれかに偏って狭くなり、馬尾神経から分かれた左右の神経根(図1)の一方が圧迫されるものが神経根型です。さらに、これらの2つのタイプが合わさった混合型も認められます。
これらの狭窄に伴う症状は、馬尾型では両側の尻から脚のシビレや脱力を生じやすく、進行すると脚の筋力低下を伴って歩行障害を招き、最悪の場合は尿や便が出にくくなることも。また、神経根型では、この症例のように片側の下肢(かし)症状を生じますが、混合型では馬尾型と神経根型がミックスされて、多様な症状を生じます。
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TEL:084(923)3724
※このコラムは、福山光南クリニック・橋本秀則先生
に伺っています。
(「リビングふくやま」2011年3月26日号掲載)
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