下肢静脈瘤の新しい治療法「グルー治療（瞬間接着剤療法）」

Ｑ　グルー治療について教えてください。

　Ａ　グルー治療は、静脈に瞬間接着剤を注入してふさいでしまう、下肢静脈瘤の新しい治療法です。グルー（glue）は糊（のり）という意味なので、グルー治療と呼ばれています。逆流をきたしている静脈を糊でくっ付けて逆流を止める方法です。
　従来のレーザーやラジオ波による治療では、静脈の内腔にレーザー等を照射したりして静脈をふさぐために、静脈を焼灼（しょうしゃく）することによる合併症が起こる可能性があります。しかし、グルー治療では治療中に血管内に熱を発生させないために、これらの合併症はほとんど起こりません。
　また、レーザーやラジオ波は治療する静脈の周りに薄い濃度の局所麻酔（TLA麻酔）を注入する必要がありますが、グルー治療ではこれらの麻酔は不要です。そのため治療後に麻酔液が染み出ることもないので、大腿部に包帯を巻く必要もありません。グルー治療は欧米では、熱やTLA麻酔を使わないという意味でのNTNT（non-thermal non-tumescent）治療と呼ばれています。
　このようにメリットが多い治療法ですが、デメリットは接着剤によるアレルギー反応などや、始められて間もない治療法なので長期的な成績が出ていないことなどです。治療費用は、従来のレーザー治療やラジオ波による治療とほぼ同じで、保険適用となります。

　
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※このコラムは、山本醫院院長・山本裕先生に伺っています。（「リビングふくやま」2022年9月9日号掲載）