痔を放置するとどうなりますか?
Q:痔(じ)を放置しているとどうなりますか。
A: 痔と呼ばれる病気には数種類ありますが、いずれも放置していると重症化します。
いぼ痔(内痔核)を放置すると、腫れ上がった痔の塊が肛門外に脱出(脱肛)して戻らなくなり、生活に著しい支障を来します。脱肛部分が血行障害に陥り(かん頓痔核)、緊急手術が必要になったり、排便時の大量出血のため高度の貧血に陥ることもあります。
いぼ痔のうち外痔核は、肛門外に突然強い痛みを伴う硬いしこり(血栓性外痔核)として発症します。放置すると、激しい痛みのため座ることもできず、歩行や排便も困難になり、自壊することもあります。
切れ痔(裂肛)も、排便時や排便後に強い痛みを伴うので排便障害につながります。排便のたびに切れるので、裂肛が次第に深くなり潰瘍化します。やがて、肛門が狭くなり(肛門狭窄)、著しい排便障害のため手術が欠かせなくなります。
あな痔(痔ろう)は、肛門周囲膿瘍(のうよう・肛門周囲が細菌に感染し化膿する)という病気で始まります。ズキズキと激しく痛み、高熱を伴います。お尻にうみのトンネルができる痔ろうになると、手術しないと完治しないとされています。
痔ろうを放置しておくと、化膿を繰り返し、トンネルが周囲に枝分かれして広がるなど重症化します。20年以上経過すると痔ろうがんが発生する可能性もあります。
いずれにしても痔は放置せず、症状が軽いうちに、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。痔は、早期に適切に対処すれば、比較的簡単に治せる病気です。
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※このコラムは、山本醫院院長・山本裕先生に伺っています。
(「リビングふくやま」2016年5月21日号掲載)